送り出し機関とは、技能実習生を管理団体に取り次ぐ技能実習生の母国の機関です。
技能実習生を受け入れる企業が送り出し機関と直接やり取りをすることはありません。しかし、送り出し機関の業務内容などについて正しい理解を持つことで、トラブルに巻き込まれるリスクを未然に防ぐことが出来ます。
外国人技能実習制度における送り出し機関とは、技能実習生を国内の管理団体に取り次ぐための現地の機関です。技能実習生の募集・選考や、入国前から日本滞在中、帰国後にかけての技能実習生のサポートなどを行っています。「現地における技能実習生の派遣元」と考えると分かりやすいかもしれません。
かつては技能実習生の来日準備を行う機関であれば、どんな機関であっても送り出し機関と呼ばれていました。現在では、2017年11月に「技能実習法に基づく新たな外国人技能実習制度」が施行されたことをうけ、「団体監理型技能実習で技能実習生の来日準備を行う機関」のみがとくに送り出し機関と呼ばれます。
送り出し機関になるためには、悪質な送り出し機関を排除するため定められた要件をクリアしなければなりません。
この要件には、日本政府が「技能実習法に基づく新たな外国人技能実習制度」の規則第25条で定めるものと、技能実習生の母国政府と日本政府とが合意して定めるものとで二つ存在し、後者は「二国間取り決め」と呼ばれます。
送り出し機関になるためには、「技能実習法に基づく新たな外国人技能実習制度」の規則第25条が定める以下の要件を満たす必要があります。
(1)所在する国の公的機関から技能実習の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐことができるものとして推薦を受けていること
(2)制度の趣旨を理解して技能実習を行おうとする者のみを適切に選定して、日本への送出しを行うこと
(3)技能実習生等から徴収する手数料その他の費用について、算出基準を明確に定めて公表するとともに、当該費用について技能実習生等に対して明示し、十分に理解をさせること
(4)技能実習を修了して帰国した者が、修得した技能を適切に活用できるよう、就職先のあっせんその他の必要な支援を行うこと
(5)フォローアップ調査への協力等、法務大臣、厚生労働大臣、外国人技能実習機構からの要請に応じること
(6)当該機関又はその役員が、日本又は所在する国の法令に違反して、禁錮以上の刑又はこれに相当する外国の法令による刑に処せられ、刑の執行の終了等から5年を経過しない者でないこと
(7)所在する国又は地域の法令に従って事業を行うこと
(8)保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、技能実習生の日本への送出しに関連して、技能実習生又はその家族等の金銭又はその他の財産を管理しないこと
(9)技能実習に係る契約不履行について、違約金を定める契約や不当に金銭その他の財産の移転をする契約を締結しないこと
(10)技能実習生又はその家族等に対して(8)(9)の行為が行われていないことを技能実習生から確認すること
(11)過去5年以内に偽造・変造された文書の使用などの行為を行っていないこと
(12)その他、技能実習の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐために必要な能力を有すること
引用元:法務省・厚生労働省「新たな外国人技能実習制度について」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000204970_1.pdf
送り出し機関は技能実習生の母国の機関である以上、それぞれの送り出し機関の適性を日本国内の当局が判断するには限界があります。
そうした事情を背景に、ベトナムやインドネシア、フィリピンを始めとする14カ国の政府と日本政府とが協働で定めるのが「二国間取り決め」です。なお、二国間取り決めが定める条件を満たしているかどうかは、日本の当局ではなく、送り出し国の当局が行います。
二国間取り決めの具体的な内容は相手国によって異なりますが、基本的な部分に関して言えば、国ごとによる違いはほぼありません。
例えば、技能実習生の数が多いベトナムとの二国間取り決めでは、
といった条件を含む12の条件が定められており、ベトナムに次いで技能実習生が多いフィリピンとの二国間取り決めもほぼ同様の内容となっています。
ただし、フィリピン人の技能実習生を受け入れる場合、受け入れ先企業がPOEA(フィリピン海外雇用庁)やPOLO(駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所)で申請を行う、という特殊な手続きが必要になります。フィリピン人の技能実習生を受け入れる予定がある企業は注意しましょう。
送り出し機関の仕事は、技能実習生を送り出すことだけではありません。技能実習生の募集・選考を行い、技能実習生に必要な教育を施しつつ技能実習生の日本入国の準備を進め、滞在中の技能実習生の振る舞いを監視し、必要に応じてメンタルケアを行い、実習を終えた技能実習生の帰国をサポートし、帰国後の就職支援を行う…、送り出し機関はこれらすべての業務を担当しています。
技能実習生を受け入れたい国内の企業は、技能実習生に求める条件を監理団体に伝え、監理団体はその条件を送り先機関に伝えます。そして、送り先機関はその条件をもとに候補者の募集・選定を行います。
送り出し機関によって選抜された技能実習生候補者は、日本語の基礎を学びながら、日本の慣習や生活・ビジネスマナー、技能実習生制度の目的などについて理解を深めなければなりません。
こうした日本入国前の事前教育を技能実習生に行うのも送り出し機関の役割の一つです。
技能自習生の事前教育を進めつつ、送り出し機関は日本国内の監理団体と連携のうえで技能自習生の入国準備を行います。
送り出し機関が入国準備には、具体的には、
などがあります。
送り出し機関は技能実習生の日本滞在中のサポートも行います。例えば、
などを送り出し機関では行っています。
技能実習生が母国に帰国するためのサポートや帰国後の就職支援を行うのも送り出し機関です。具体的には、
などを行っています。
技能実習生を受け入れる企業が送り出し機関と直接やり取りを行うことはありません。
しかし、送り出し機関の良し悪しを見極めることが出来なければ、優良送り出し機関と契約している優良監理団体を見つけることも出来ません。そうした意味では、技能実習生を受け入れる企業の担当者も、優良送り出し機関の特徴についてある程度知っておく必要があると言えます。二国間取決めを日本と結んでいる国の場合、政府から認定された送り出し機関かどうかをまずチェックしましょう。
「政府認定のない送り出し機関から金銭を不当に請求された」と報告する受け入れ先企業の数は少なくありません。政府認定の送り出し機関とだけ契約する監理団体を選べば、そうしたトラブルを未然に防ぐことが出来ます。
ただし、中国およびネパールは日本と二国間取決めを結んでいません。そのため、この二国の技能実習生を受け入れる際には、以下に挙げるポイントを特に注意して確認する必要があります。
外国人技能実習機構が悪質な送り出し機関を取り締まるようになってから、違法行為を堂々と行う送り出し機関は少なくなりました。
しかし、隠れて違法行為を行う送り出し機関は、未だに一定数存在すると言われています。とくに、
といった行為をしている送り出し機関、ないしそうした送り出し機関と契約している監理団体は絶対に避けるようにしましょう。
例えば、接待を過剰に提案する送り出し機関、およびそうした送り出し機関と契約している監理団体には警戒が必要です。
違反行為を行っていないからといって、優良送り出し機関とは限りません。
違法行為を行っていないかどうかを確認したら、次にこれまでにトラブルを起こしたことがないかどうか確認しましょう。とくに多いのが、コミュニケーションのトラブルです。送り出し機関の担当者と連絡がつかないために
といったケースは珍しくありません。
出来るだけ監理団体や受け入れ企業からの評判が良い送り出し機関、ないしそうした送り出し機関と契約している監理団体を選ぶようにしましょう。
送り出し機関のサポート体制が充実していれば、受け入れ先企業も安心して技能実習生を受け入れることが出来ます。とくに、
の3点については、しっかり確認するようにしましょう。
送り出し機関の教育担当者が日本語を流暢に話せれば、技能実習生も最低限の日本語を身に着けることが出来ますし、また、教育担当者に日本での就労経験があれば、技能実習生の素質と企業のニーズのミスマッチも少なくなります。
また、技能実習生の日本滞在中のメンタルケアを適切に行っている送り出し機関であれば、受け入れ先企業にとっても技能実習生本人にとっても安心です。
※2022年11月10日時点のGoogleで「技能実習生紹介 愛知」と検索して出てきた愛知に本部がある技能実習生紹介組合の中から、技能実習生紹介を専門的に取り扱っており、日本語研修が実施されていることが公式HPに記載されている3組合を応えられるニーズ別に以下基準で選定。
フレンドシップ協同組合:唯一母国語対応の外国人スタッフが24時間365日サポート
三愛友好交流協同組合:全国に紹介対応し、唯一累計5000人以上の実習生を受け入れており、豊富な人材提供ができることを明記(2022年11月時点公式HPより)
GTS:唯一10ヵ国から人材を紹介し、実習生を母国での子会社にて再度雇用するプランを提供